HOME > かつお節物語 > その2:生切り(なまぎり)篇

このサイトのデザイン担当の宮ちゃんがかつお節づくりを体験! 『昔ながらの製法にこだわる、やまじゅうさんの工房での体験の様子と、かつお節がどのように作られるのか、わたくしこと宮ちゃんがレポートします。是非読んでみてくださいね。』 やまじゅうのかつお節が、どのように作られているのか、興味のある方は、この体験記を通 じてお解りいただけると思います。

 

その1:市場篇
■その2:生切り(なまぎり)篇
その3:焙乾(ばいかん)篇

※1,2,3と順番に読んでくださいね。

その2:工場で生切り篇

このボタンがある所では、クリックすると関連する写 真が御覧になれます。

 

 

▲雰囲気あるでしょう

▲やまじゅうの職人さん

さて、魚市場の見学も終わり、工場に戻りました。時間は7:30過ぎです。3人の職人さんが、すでにかつおをさばいています。毎朝6:30から作業を始められているとのこと、頭がさがります。工場は200坪ほどの広さで、南側手前に長さ4メートルはあろう、大きなまな板が二枚並べてあり、そこで、魚を切っています。その隣には、地中に穴を掘った中に、四角の大きな煮釜が三つ並んでおり、煮えたお湯から、もうもうと湯気が立ちのぼってます。そのまた隣には、水をはった、水槽が二つあります。その隣に、やまじゅうさんの自慢のひとつである、手火山式のいぶしの為の炉が二列あります。そして、工場の東側、奥半分がいぶしの為の急造庫(きゅうぞっこ)で、二階建てのいぶしの部屋になっています。工場の中は、冬の凛とした空気と、対照的に、工場の西側半分の窓から差し込む朝日の眩しいほどの光りとそして、もうもうと立ち上がる蒸気の白いろと、永年にわたり、なにもかも燻されて真っ黒になった工場の内部の様とが、強烈に主張しあうように溢れて、私の眼に飛び込んできます。さらに、このハイキーなコントラストの世界に、さばかれたかつおから流れ出る、真っ赤な血の色が、静かに生命の色を訴えているような、今まで見たことがないような世界を、眼の前に差し出してくれているように感じました。聞こえてくる音は、お湯の煮えたぎるぼこぼこといった音と、魚を三枚におろす時に、包丁がまな板に当たる時に響くトンといった音で、静かななかで、もくもくと作業が続けられています。こんな中、我々のような部外者がつっ立っていると、非常に場違いな感じです。

 

▲ヘッドカッターに原料を入れている所

▲ギロチンですな

さて、やまじゅうさんのかつお節の製造工程については、少し前の打ち合わせの時に、ひと通 りお聞きしたので、しばらくは、このホームページの為の取材として、作業の様子を撮影させてもらうことにします。「適当にやってて、いいよ。」と、やまじゅうさんに声をかけられます。そのやまじゅうさんは、さっと前掛けを身につけて、魚を切る作業に取りかかりました。専門用語で、この魚を切る作業の事を、「生切り」と呼ぶようです。まずは、生切りから、撮影させてもらいます。さすが、まだ作業が始まったばかりですから、いきなり素人の我々が、体験実習させてもらっては、作業の邪魔になってしまいそうなので、しばらくは取材方に徹しました。 本日の製造予定は、約2トンのかつおの処理です。昨日、市場で買い付けた冷凍のかつおを大きな鉄の水槽に水を張って、その中で一晩かけて解凍した原料を使っての製造です。あとで、聞いたのですが、魚体のサイズは約4.5kgの物ですから、両手の手のひらで、丸を作っても掴みきれない程の丸々とした大きなかつおでした。解凍用の水槽の脇には、見なれない機械があります。この機械は、ヘッドカッターと言って、生切りの最初の工程である、頭切りの工程を省力化するために開発された機械だそうです。やまじゅうさんもそうなのですが、かつお節作りの職人さんの世界では、現在、高年齢化が進んでおり、職人ならではの作業の中にも、やむおえず省力化の波が押し寄せてきているそうです。とくに、頭切りは大きなかつおの頭を骨ごと、頭を切り落とすため、かなりの重労働なのだそうです。そこで、それを解消する為にヘッドカッターが導入されたようです。では、全ての行程を機械化したらどうか?という疑問が生じたのですが、かつお一本一本が大きさも形も肥え具合も違うため、それを機械で均一に処理していくことは、できないようです。手仕事本位 の職人の仕事と省力化本位の機械の仕事との間には、ここまでは、と、言った境界線が引かれているのであろうと感じました。その境界線がどちらに傾くかで、きっと製品の良さが決まっていくのだろうか、この辺が、現代における、「こだわり」度の基準になるのではないかと思いました。ただ、実際、総てを昔に戻すことだけが「こだわり」では無いような気も、この時してきたのでした。

 

▲せびれ取りです

▲これがかつおのヘソです

▲三枚おろし、トン!

さて、ヘッドカッターで頭切りが終わった後は、腹身(ハラモ)取りといって、お腹の部分を三角に切り取り、一気に内臓を取り除いてしまいます。さて、このハラモですが、丁度三角形の形になるんですが、地元住人の私として、言わしてもらうと、要は、かつおの大トロの部分ですので、塩焼きにして食べると、脂がたいそう乗っていて旨いんですよ。そうそう、頭切りの行程で、切り落とした頭の切り口付近には、おにぎりのような形をした、心臓があるんですが、これが、また旨い!こちらでは、かつおのへそと呼ぶんです。この日もおやつ?に食べさせていただいたんですが、あとの行程で出てくる、かつおを煮る煮釜でさっと茹でてもらって食べると、焼き鳥のレバーととり皮を一緒に食べたような食感で旨いんです。ああ、さらに、内臓は、塩辛屋さんで、これまた、かつおの塩辛「酒盗」に変身いたします。かつおってエライ!!?それとも、食い意地がはった人間が偉いのか? この辺で、話を戻します。つぎに、背鰭(せびれ)取りです。これを始めて見て、結構驚いたのですが、普通 に板前さんが魚を三枚におろすのと、違うんです。尾鰭の方から、包丁クリックすると写真が開きますの刃先を皮と肉の間に入れて、背鰭の根元をかすめて頭の付け根近くまで切れ目を入れ、左右同じように処理したら、背鰭の後ろ側を包丁でとんとん叩いて、背鰭が浮いてきたら、一気に手で引き抜きます。すると、綺麗に背鰭と、カレイとかひらめでいう、縁側の部分がいっきにとれてしまいます。見ていて、とても気持ちが良いくらい、さっと、取れてしまうのです。これ、早くやってみたいと思いました。 つぎに、いよいよ三枚卸しの行程に入ります。これがまた、威勢が良いというんでしょうか、まず、片身をおろすのに、尾鰭の付け根を持って、頭の方を下にぶら下げるような格好で一気におろしてしまいます。このアクションが、とても男らしいですね。もともと土佐のかつお節製造のスタイルが焼津にも伝えられてと聞いたのですが、土佐の気質がこのスタイルに表れているようです。この時の包丁がまな板に当たるトンという音が工場に響きます。そして、毎日毎日トントンと繰り返しているうちに、まな板の角はみごとに削れて薄くなってしまうのでした。クリックすると写真が開きますすごいですねえ。そして、残りの半身ですが、こちらは、まな板の上でおろします。よく板前さんが、半身ずつ包丁を入れて、鯛などを卸す光景を見かけますが、どちらかと言うと、小さい鯖や鰺を卸す時に使われる、大名卸しのようなスタイルでは、ないでしょうか。あ、ここで、大事なことを忘れていました。三枚に卸す前に、空包丁を入れる行程がありました。ようは、一気に半身ずつ卸せるように、あらかじめ、背骨から枝のように生えている中骨と身の間に、包丁で切れ目を入れていました。この時、おもしろいのは、包丁の刃を上に向けてこの作業を行っていたことです。三枚におろされたら、やまじゅうさんの所では、生切りの行程は終わりになります。この時、中落ちには、非常に薄く身が残るだけで、さすがに職人の技は違うぞと実感しました。

 

▲きれいに並べられるかつお達

半身ずつにおろされた後、鉄の篭に綺麗にならべられます。この行程を篭立て(カゴタテ)と言うそうです。一見、ただ並べているようですが、実は、節の仕上がりを左右してしまう技が隠されているのだそうです。それは、半身の状態におろされたかつおの形状は、ちょうど飛行機の翼の断面 のような形です。これを、四角四面の篭に、ただ並べていくだけでは、かつおの太い部分がぎっちりつまった状態で並べられても、細い部分のまわりは隙間が出来てしまい、つぎの行程の煮熟の行程で、反り返ったりして、変形してしまうのだそうで、それを防ぐために、篭をななめに使って交互に重ねながら並べていきます。それで、篭にはしっかり隙間なくかつおの切り身が並ぶことになり、変形を防ぐことができるのだそうです。どんな物でも、そうですが、先人の知恵の素晴らしさを感じさせられます。そして、技術は残っても、ほとんどの場合、人の名前は残らないんですよね。でも、こうやって技術が残るってことは素晴らしいことですね。

 

▲お湯がザブっとあふれます

▲赤が眼に眩しい

人の背丈ほどの高さに篭が積み上げられると、次の行程である、煮熟(しゃじゅく)の行程に移ります。さあ、いよいよここからが、眼にみえない熟練の技が発揮される行程です。煮熟とは、簡単に言ってしまえば、お湯で煮ることなのですが、ただ煮るだけでは、良いかつお節はできないのだそうです。扱う原料の鮮度や、大きさ、さらに気候の違いに合わせて、お湯の温度と煮る時間を調節して、煮過ぎで旨味が抜けてしまわないように、また、十分に煮えないままの状態で、後の燻しの行程に回してしまうと、肉むれといって、中のほうが腐ってしまう、ということのないよう、細心の注意を払いながら、この煮熟の行程を行うのだそうです。この日は一度に原料で言うと500kg位 のかつおをおろしたものを煮熟するのに、微沸騰のお湯で、120分程かけて煮熟していました。さて、この煮熟で使われた煮汁ですが、素人眼にみても、かつおのだしが出ているように思われます。この煮汁をどうするのかなあと思っていたところ、この日の午後、真っ赤に塗られたバキュームカーが一台やって来て、この煮汁を一気に吸い取り、持っていってしまいました。その車の後ろには、かつおエキスと書いてあったのですが、なんと、この煮汁を工場に持ち帰って濃縮したのち、かつおの旨味が濃縮されたかつおエキスとして、かつおだしなどの調味料に添加する材料に生まれ変わってしまうということでした。ああ、すごいアイデアですね。

 

▲煮熟後のあつあつです

▲毛抜きをつかって水骨抜きをします

さて、煮熟を終えたかつおは、しばらく放冷された後、今度は、煮熟の釜のとなりの水槽に、一カゴずつ入れられ、やまじゅうさんのおかみさんをはじめとする女性陣によって、骨や皮などをきれいに取り除く、「水骨抜き」という行程に移っていきます。さて、ここでまた疑問が、何故水の中でやるの?その答えは、あとで、良く解りました。それは、同行した、T氏が、この水骨抜きに挑戦したんですが、まず、半身の状態のかつおを、水の中で、上下二つに割ります。これで始めて、我々が普通 で言うところのかつお節の形になった訳ですが(我々と言っても、子供の頃、わずかながら、自分の家でかつお節を削った記憶のある世代ですので、果 たして、いまの若い人たちに解ってもらえるかは、はなはだ疑問です。)、その後、腹骨や余分な皮を取り除くのですが、T氏が、ふと節を持ち上げた時、あっと言う間に、その節がまっ二つに折れてしまったのです。(ああ、どうしよう。)要は、こういう事らしいですね。まず、煮熟を終えた状態の節は、まだ熱くて、とても柔らかい状態だそうです。それで、不用意に持ち上げてしまうと、まっ二つってことになってしまうのだそうで、水の中に浮かすようにしながら、作業をおこなうことによって、折れる心配もなくなるのだそうです。確かに水の中で節を持つと、浮きはしませんが、とても軽く感じました。やまじゅうのおかみさん達によってきれいにされた節がつぎつぎと次の篭(これが、年期の入った篭なんです。)に並べられていきます。さて、ここで、大事なことを教えていただきました。上下二つに割られた節には、それぞれ名前があって、背中側と腹側に割られるわけなのですが、その背中側のことを「男節(おぶし)」、腹側のことを「雌節(めぶし)」と呼ぶそうです。これは、かつお節になってからも、同じように呼びますから、良く覚えておきましょう。 生切り編は、これで終わりです。次は、生切り体験・焙乾篇です。

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