一本釣りとまき網の漁法のちがい
一本釣り漁は釣竿を使って、かつおを釣り上げる漁法で、近海や東沖から、遠洋の南方漁場まで、広い範囲で行われている漁法です。この漁法のメリットは、一本一本釣りながら、凍結などの処理ができるため、かつおの鮮度が良いことです。そのため、うま味成分が豊富で、雑味のないかつお節に仕上がるのが特長です。
ただし、一度の航海で漁獲できる量が比較的少なく、鮮度も良いため高値で取引され、お刺身やたたきなど生食用で流通することがほとんどです。
もうひとつは、まき網漁です。現在流通している鰹節の95%以上は、赤道付近の遠洋でおこなわれるまき網漁で獲れたかつおからつくられています。大型の母船から小船を出して網をまき、かつおを獲ります。遠洋のまき網船の場合、約一ヶ月の航海で、大きい船では1000トンちかくのかつおを漁獲します。この漁法では、網で一度に大量に漁獲するため、一本釣りに比べて凍結処理をするまでに時間がかかってしまうため、鮮度が落ちたかつおが混ざることがあります。
今回の一本釣り漁の鰹は南方漁場で漁獲された7kg以上の鰹からつくっています。鮮度質ともに申し分ないかつおでしたので、ぜひ普段のかつお節との違いをお楽しみください。


一本釣り鰹使用の本節は手火山造りでつくられた荒本節に2ヶ月以上かけてじっくりとカビ付けをした枯節です。かつお節につけるカビは優良カビと呼ばれ、安全に食べることができる種類のカビで、味噌や日本酒に使われる「こうじ」と似た種類のカビです。カビは植物の様に根を張り、かつお節の中の水分を吸って生えてきます。これを天日で干して乾燥させ、またカビをつけ…と繰り返すことで、かつお節の中の水分が減り、かつお節は枯れていきます。こうして出来上がったのが「枯節」です。さらにカビには、かつお節の持つ脂分をうま味成分に変える効果があります。そのためカビをつけたかつお節は、上品で澄んだ出汁が取れます。
今回の本節は7kg以上の大きさの鰹を使っています。通常の本節は4.5kg以上の鰹を使い、約190g位の重さの節になりますが、今回の本節は340g以上の重さです。値段が高く感じられるかもしれませんが、大きさも特大サイズとなっています。